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晋江文学城ユーザーだが海棠のことあんまり知らなかったんだよな

中国のBL作家摘発のニュースに関する私見
こんな記事を書いておいてなんですが海棠のことあんまり知らなかったんだよなと思ったという雑談です。
前回の記事も適当なことを書いたつもりはないんだけど、わりと薄っぺらいというか検索すれば出てくる程度のことしか書いてないわけです。
「中国はBL書くと捕まる」レベルの雑さは論外ですが、しかしあの程度の記事もなんとなくここ数年中国のBLに関する話題を追ってれば書けるレベルのものだと思ってほしいというか……。


【私と中華BLプラットフォーム】
日本語版が出てる中華BL小説はまだまだ少ないとはいえ、増えつつはあるので、中華BLが好きな人でも必ずしも中国のプラットフォームで読んでいるとは限らず、中華BL好きだから好きな作家さんが心配……!みたいな声も見かけました。
気持ちはわかるし絶対大丈夫とも私が言えるわけではないんだけど、海棠の逮捕事件があったのが去年の夏で、私の好きなpriest先生は去年の4月から12月まで晋江文学城で新作BLをバリバリ更新してたんですよ。
中国のネット小説プラットフォームで、いわゆる男性向け大手が起点中文網、いわゆる女性向け大手が晋江文学城とされていて、女性向けだと他にも長佩、書耽、あと時々海棠の名前が挙がりがちなイメージです。
長佩と書耽は小説は気になりつつ読んだことなくて、漫画になってるのをピッコマで読む程度でした。長佩だと「エゴサしてたらライバル×俺の二次創作にハマってしまいました」、書耽だと「両想いの恋わずらい」が好きな作品ですね。書耽原作はかなり色々漫画が日本語訳されてます。
ピッコマで中華BL漫画を検索する
この記事で「The Shubl Website」というタグがついてるのが書耽作品です。中華BL漫画の中でも上陸が早く知名度も高い「愛も憎しみも沈黙の中で」もそうです。
とまあ他のサイトの作品も気になりつつ、基本小説を読んでるのは晋江だけという状態でした。

【海棠って?】
海棠が台湾のプラットフォームというのも聞いたことはあって、なのでなんで(大陸じゃないのに)他のプラットフォームと一緒に名前が挙がるんだろうな?と思った覚えがあります。
今回の事件で登録してみようと思ったけど今新規のユーザー登録ができないっぽくて結局登録はできてないため、ここからは実際に海棠の作品を読んでみて書いてる記事ではないということをご了承ください。
海棠、大陸からのユーザーが多いサイトっぽい感じがしますね?大陸中国で書けない成人向け作品を置くためのプラットフォームとして機能してた感じがします。(真偽は確認してないけど、逆に台湾の人は別にあんまり海棠見てない的な声も見かけた)(もっと別にトレンドがあるっぽい)
なので海棠はたぶん別に中国のBLのメインストリームではなく、大陸全体で厳しく取り締まられたというよりピンポイントで目をつけられたという印象で、ずっと晋江でしか読んでなかった自分は知らないことが多かったなあと思った次第です。
海棠のプラットフォームとしての問題点も色々見かけたんですが結局ユーザーとして使ってないのでそのへんはまだ詳しく知らないというのが現状です。


【晋江の話】
晋江はBLのメインストリームなんですか?という話ですが、日本語圏で中華BLあんまり詳しくないけど見かけたことはあるかも、くらいの人が思い浮かべる中華BL(を原作にした改耽含む)の9割は晋江文学城の作品で、残りの1割は水千丞先生の作品だと思っています。いや調べたわけではなく、それくらい晋江が大手だという話です。
日本語版が出てるBL小説は全部晋江の作品で、ウェブトゥーンは晋江と書耽が半々か晋江のがちょっと多いくらいかな?
晋江が強いのはドラマというイメージで、中華ブロマンスドラマと銘打たれた鎮魂、陳情令、山河令、成化十四年、最近だと致命遊戯に光・淵と全部晋江の原作です。(君子盟も晋江だけどこれは原作not BL)
なので晋江が大手であることは間違いなく、そしておそらく大手ゆえに表現の制約が強いイメージがあります。しかしこれも他の小説サイトと読み比べたわけではなく……。
私は2020年頃から晋江の作品を読んでて、やっぱり風当たりが一番強かったと感じるのは2021〜2022年頃なんですよね。下記の記事はその頃の覚書になっています。
2021年の晋江文学城の鎖(ロック)について:天涯客、鎮魂、殺破狼、二哈、天官、撒野
ただ最近の作品はもっと性的な表現に厳しくなってる……かな……?ここ数年の作品をあまりたくさん読んでなくて、確かに巫哲先生の桃花源とかpriest先生の純白悪魔はそういう描写少なめだったけど、ここ2,3年のでかいヒットだと思ってる醤子貝先生の放学等我はわりとあったと思うんだよな〜。

【BL規制についての実感】
私よりもっと前から中華BLを読んでる人はたぶんまた違う実感があるのではないかと思います。
私は2014年のネット浄化キャンペーンや2018年の天一事件はもちろん、2020年の227事件もギリギリリアルタイムでは知らないのですよね。昔は大陸からAO3ってアクセスできたんだ!?と驚いたくらいです。
なので当然私よりも詳しい人が全然もっといて、中華BLをそこそこ読んでいると言っても一応差し支えないくらいの自分も知らないことは全然多いよという話を書いておこうかなと思った次第です。それとそもそも中国の小説サイト読んでる日本の人で、晋江と比べるとだいぶ少数派だと思うけど海棠の作品読んでる人もいます!めっちゃたくさん色々読んでる人は海棠の作品にも辿り着いているイメージ……海棠の作品の傾向の話とか教えてほしい……!
そんな自分でもやっぱり言いたくなってしまうのは、確かにBL規制はあるんだけど「わいせつ」が取り締まられるのは決してBLだけじゃないということと、あと他にも色んなものが規制されてるということです。
2021年のBL逆風の時は未成年のネットゲームとかアイドル番組とかが槍玉に挙げられてた時ですよね。未成年のゲーム時間制限とかけっこう衝撃じゃなかったですか?
なので逆に今回の海棠の件で未成年への悪影響を憂いてる声を見かけると、ほんとにそれが問題なら未成年のvpn禁止とかランキング制課金サイトへの投稿禁止とかできたんじゃないの!?みたいなことを思ってしまいます。(いやそんなやり方を支持するわけでもないが……)
あと一つ難しいと思ってるのが通報制度で、外野からの事実確認がたぶんめちゃ難しいのが本当に複雑な気持ちになります。海棠の件も通報にまつわる噂が色々あり、しかし実際のところはわからないんだろうなあと思うと……。私は規制自体もなんとかなってほしいけど、「2021年の晋江文学城の鎖(ロック)について」の記事でも最後にちらっと書きましたが、規制×通報の食い合わせの邪悪さ!本当にこれがよくない気がしています。
なのでBL規制というのは確かにあるんだけどBLだけに着目してても見えないことが多いと思ってて、まあ私も一番関心あるのはBLなのですが、「BL作家の女性が逮捕」というフレーズがゴシップ的な関心を引いて一人歩きしてないか?というモヤモヤがあります。


【海棠の作品は読んだことなかったけど……】
そういえば2024年の海棠の摘発事件で一番ニュースで名前が上がることが多かった云间先生が原作の「離婚申請」を読んでたことを思い出しました。
地獄ではない中華BL
この記事の3番目に紹介してます。
当時はこんなことになると思っていなかったのでめちゃくちゃな紹介文を書いておりますが……うーんでも別に同情して評価が変わるわけではないですね……めちゃくちゃなBLです!!
「中華BLはBL部分をなくしても骨太で面白い」みたいな陳腐な言葉を一蹴するパワーのある怪作です。
「from:jirogiii 離婚申請」でツイート検索してもらうと悪口まがいの感想がたくさん出てきますが、でも本当にすごい作品なんですよ。
ちなみに海棠の事件があったせいだと思っているんですが、元々漫画が掲載されていた快看では取り下げられているのでピッコマで読めるうちに読んでください。中国のウェブトゥーンはフットワーク軽く翻訳されるのに対して契約切れる(せいだと思う)とあっさり販売終了して読めなくなりがちなので思い立ったが吉日です。


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