判官の感想文
某某、全球高考と並んで先生の作品の中ではマストだろうからいつか読もうと思っていた作品で、月並みな感想ですがすごくいい話でした!
キャラクターの関係性とか半分古装要素があるところとか阴客っぽいかな?と思って読み始めたのですが、話の進み方はちょっと全高っぽいかも笑?
以下ネタバレありで感想メモのまとめという感じです。
判官という人達がいる世界観で、傀儡人形を操ったり、占いをしたり、法陣を書いたりすることができて、主な仕事は人が死ぬ時の未練が作り出す『籠』を解くこと。主人公の聞時は判官の祖師と呼ばれる人物の直接の弟子で、千年もの間で何回も生き返っている。ある年に生き返った聞時は、弟子が育てた少年と一緒に暮らし始めるのですが、謝問と名乗る不思議な人物と知り合うことに……みたいなのがあらすじというか導入かな~と思います。籠を解くのが判官のメインの仕事だと思ってたんですがたぶんなんか他にも色々やってる……。
カップリングは塵不到/謝問(師父)×聞時(弟子)なので、この辺が阴客っぽいのかなと思った要素ですね。阴客は短いので基本的に二人の話にずっとフォーカスされる感じなのですが、判官は二人の話をベースにしつつ、周囲の人たちのエピソードも絡み合い……というところがまたテイストが違うなーと思いながら読みました。主人公たち以外にも判官を生業としている家門の人たちがいるので、そういう人たちと色んな籠に入り、籠主とその未練を解き明かして籠を解いて出てくることを繰り返すので、その辺が全高っぽいと思ったところでした。まあ全考ではないので燃やしたり爆発させたりするわけではなく基本的に人情話ですね。
文案で最初からネタバレされてるんですが謝問=聞時の師父の塵不到で、お互いにどこまで相手の素性に気付いているのか読者側がやきもきしながら曖昧な感じに距離が縮まっていくのを見守るのが前半でしょうか。木苏里先生の曖昧な距離感期間のやりとりがすごく好きで、謝問が纏っている黒い霧で飢えを満たす体質(なんて表現したらいいんだろう)の聞時が「あなたが喋るほどお腹が空く」って言った時の「じゃあどうして我慢してるの?」とか、夢うつつで謝問の手を掴んでしまった聞時との「どんな夢を見てたの?」「誰かの夢を見て、その人と自分を間違えたのかと思って」とか、「まだ機嫌が悪い」「機嫌は悪くない」「じゃあどうしてここに皺が寄ってるの?」「習慣」 とかそういうやつ~。
それでまあ聞時と塵不到がどういう関係なのかというと、師弟……ではあるんですが聞時は塵不到のことを師父とは呼ばず「塵不到」と呼び、戦乱の死体の山から自分を連れ出してくれてずっと育ててくれた塵不到に対して唯一無二の特別な感情があるんですが、じゃあ塵不到は聞時のことどう思ってるの!!!???いや~~~~これは塵不到もさあ……どう考えてもさあ……みたいな期間があり、でもなんか思ったよりあっさり聞時と謝問としてそういう関係になった気がする!!いや、あっさりって言うと語弊があるかもだし、これちょっと阴客のネタバレになるかもだけど、小さい頃から育てた弟子を恋愛対象にすることに対してもっと葛藤とかあるのかと勝手に思ってました。でも、あ、けっこう普通にキスするし抱くな……と思って読んでました。「何年もの間生死を繰り返してやっと凡俗に戻ったようだ」っていうの、殷無書とはまた違うコラ~!感がありますね。すぐ阴客を引き合いにして申し訳ない……。
というわけでお互いの正体もわかって恋人のような感じになれた二人なんですが、そこから判官として名門の一家である張家の騒動から塵不到がこれまで明かしていなかったこと、そして聞時が……とクライマックスになっていき(このへんはちょっと虐かも)、物語の最初に出てくる沈橋と夏樵の話に戻ってくるのがとても泣けました。
主カプ以外だと私は卜寧と周煦のコンビが大大大好きで、卜寧のエピソードになったときは周煦ってそんな重要な役割だったの!!??とびっくりしたりもしましたが、師兄たちの中でも真面目で温和な卜寧とミーハー現代っ子な周煦のやりとりはそれだけで楽しいし、お互いを思い遣ってる姿にぐっときてしまう……。
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