priest先生のインタビュー記事紹介①~残次品~
インタビュー①「对话Priest(之一):人类的每一次超脱本性都是高光和奇迹」
https://weibo.com/ttarticle/x/m/show/id/2309404458874835959846
インタビュー②「对话Priest(之二):出入科幻、武侠、女性成长题材,日常之下是个体隐秘突围与超越 」
https://mp.weixin.qq.com/s/V55ox09zhmw4Q917EWIsrw
この記事はインタビューを全文訳すとかそういうものではなく、インタビューをかいつまんで紹介しつつpriest作品の話をする記事です。(今回は基本的に残次品の話です)
翻訳機使いつつ自力訳なので間違いあったらすいません。
あとあんまり致命的なネタバレはないように書いてますが比較的各作品読了者向けかもです。
インタビュー①では主に残次品の話をしています。
※残次品は2023年8月現在、日本語版が2話まで配信されてます!
邵燕君(インタビュアー):「(前略)私が読んだあなたの作品の中で、「大哥」は最も素朴で感動的、「黙読」は最も成熟して完璧な作品だと思っています。「残次品」は明らかにそれほど成熟・完成されていない作品で、思想的にも、プロットの設定にも不均衡があり、文章にも慌ただしいところがあります。(中略)しかし、この頑なに上を向こうとする力が特に私を感動させ、そこには執拗な誠実さがあると思います。 自由、平等の問題、「底辺」の生存権と発展権の問題など、みんなが遠巻きにしている問題を直接提起しています。(中略) 小説の中であなたは林静恒に、独眼鷹に対して説教をさせています。「お前は彼(=主人公の陸必行、独眼鷹の息子――インタビュアー注)にどのように取捨選択するかを教えるべきだ。全てのことに完璧な解決方法があるわけではない。」、と。 あなたがしているのはまさにその完璧な美しい解決方法を探すことではないでしょうか。 あなたは陸必行のように苦労し、気に入らず、自分で難易度を設定し、ファンを困らせ、多くのファンは「わからない、退屈、説教」と文句を言おいます。 あなたのこの執着の背後にある中心的な原動力は何ですか?」
Priest:「「残次品」のような小説は、実は私の枠組みでの「世界観設定」のレベルを表しています。 私は架空の設定を書くのはあまり得意ではなく、虚構になるほどナンセンスになりやすいです。(中略)しかも「残次品」の世界観は組み立てながら作られていて、私は筋書きを書くのがあまり上手ではありません。世界観設定はまるで馬の手綱で、車道のないところで目を閉じて運転しているかのようで、運転しているとどっちが北かわからなくなります。(中略)時には手綱をうまく引けないことがあり、すると全体が台無しになります。例えば、半年間改修修理してようやく整理できた「鎮魂」や、今年転覆して書き直している連載文などです。 この乱雑な状態はテーマ選びのためではありません。」
この残次品についてのやりとり、批判から始まるわけですが略したところでインタビュアーの方はpriest作品の大ファンだけどファンではなくあくまで研究家として言いにくいことも言わなければいけないと前置きしてこの話をしていることを付け加えておきます笑!しかし黙読はすごく綺麗に完成されてるけど残次品は後半とかやや散らかったまま駆け足で終わった感はちょっとわかるのでそれはあるな~というのも同意できるところでもあります。それを差し引いても残次品が魅力的というのも同じ……!
質問の主意としては、陸必行くんのように問題提起とかのテーマを色々入れ込もうとして作品が慌ただしくなってしまったのでは?という質問に対して、priest先生がそもそも自分は世界観を作るのがあまり得意じゃなくて手綱をうまく引けなくて作品が台無しになることがあるので、テーマを詰め込もうとし過ぎたせいじゃなくて自分の世界観構築のレベルのせいだよ~と答えてる、という感じなのかなあと思いました。
ところでインタビュアーの方が引き合いに出してる将軍が独眼鷹に言うセリフの場面とても好きなのですが、しかしこのあと将軍こそが理想を追い求める陸必行くんの第一の支持者になるのに!と思わないでもないです。
あと先生が言ってる今書き直してる連載分は烈火澆愁のことかな?
インタビュアー:「(前略)林静恒は陸信、陸必行親子と価値観の三角関係を構成しています。 陸信の名前は記号であり、彼は信仰の世代であり、中国の千百年劇の典型的な悲劇的人物である精忠報国の士であり、最後には無念の死を遂げました。(中略)彼の愛弟子で養子の林静恒は理想が灰となる過程を目撃したせいで心の冷たい現実主義者となりましたが、彼の感情パターンは恩師の血肉とつながっています。(中略)陸必行が彼に与えるのは信仰心ではなく、行動の理由です。 「必行」の名前もまた記号です。陸必行はなぜ人々を救おうとするのか? その理由は天命です――彼はかつて(ネタバレなので割愛します!みんなご存じ陸必行くんの生い立ちの話です)彼は生まれつき人類に借りがあり、希望のない地に追放された「残次品」たちに借りがありました。」
Priest:「彩虹ウイルスは彼の命の恩人であり、陸信が第八銀河のシンボルになる出発点でもあります。 陸必行は子供の頃大量破壊兵器に夢中になっていました。養父は武器商人で、宇宙海賊が身近にいました。もう少しでスペーステロリストに向かって奔走するところでしたが、そうはなりませんでした。本の後半で、陸必行は新暦で旧連盟との関係を一刀両断し、自由宣言に忠誠を尽くさなくなりました。最後の世界平和として、第八銀星系と他の銀河との国交を再開しましたが、彼は心の中で自由宣言を認めているのでしょうか? 私もまた書いていません。心の中でどのように考えるかは自由ですが、私は彼が一生言わないことを知っています。なぜなら、誰もが彼が陸信の息子であることを知っているからです。もし彼が言ってしまえば、陸信のために最後の疑惑を定着させることになるからです。」
ここ~~~~陸必行くんの生い立ちと自由宣言~~~!!!本当はもっと禁果リストを見てしまった陸信将軍の心中のこととか書かれてるので残次品読了した人にはほんと読んでほしい部分です。
あと林静恒・陸信・陸必行で価値観の三角関係っていう表現もいい得て妙過ぎてひっくり返りました。ほんとにそう……。そのうえでpriest先生に言う「彼は心の中で自由宣言を認めているのでしょうか?」にウワーーー!!となってしまったのでした。私は政治家としての陸必行くんも苦しいほどに好きなので、このへんのバランスにウッ…となるし、陸必行くんのことがもっと好きになってしまう……。
インタビュアー:「どこかで見ましたが、子供の頃から「古典が大好き」だそうですね。 あなたの好きな古典的な作品は何でしょうか?」
Priest:「『有匪』繁体版の自序のことでしょうか。私は「古典が大好き」というわけではなく、「こんな子供が大人の本を読み終えることができるなんて!」という誉め言葉が好きなだけです。 この年では明らかにこんな誉め方はされなくなり、古典を読むことも少なくなり、基本的に架空ではない本を主に読み、効率的で有用なことを前提とするようになりました。でも、好きなものはたくさんあります。大デュマの作品は波乱万丈で、ガブリエル・ガルシア=マルケスは焼かれたナイフのようで、ワイルドは不幸な話ですが美しいです。たとえ彼がつまらないことを書いても私は好きです。王小波と老舎は近代的な男神です。」
ここはあんまり残次品と直接関係ないんですが、priest先生が好きな作家の話をしてたので紹介してみました。古典が好きなわけじゃなくて、子供が難しい本を読んでる!って褒められるのが好きって答えるところがpriest先生らしいな~と思って笑っちゃいました。
Priest:「『残次品』の設定の良くないところは、具体的などれか作品の影響を受けているのか、中にはスペースオペラを題材とした使い古されたネタが使われています。「ワープ点」、「人工知能」、「機甲」などの用語は、修真文の「金丹」、「元神」と同じようにフィクションでありながら読者が読めば何を意味しているのかいちいち説明する必要はありません。(中略)『残次品』の冒頭の新星暦紀元の設定は宇宙大航海時代が終わり、(第八銀河を除いて)社会の生産力レベルが非常に高く、物質が非常に豊富で、内外の心配もなく、誰もが高等教育を受け、基礎教育が直接頭の中に注入され、学力に支配される恐れもありません。ではこれらの条件の下で、この社会に住んでいる市民はすでに様々な現実的な悩みから抜け出していると考えられるので、彼らは何に困っているのでしょうか? 私は合理的に推測し、アーヴィン・D・ヤーロムの人生の四つの究極の問題――死、自由、孤独、そして無意味に直面するだろうと考えました。」
このへんは残次品の世界観設定の話ですね。確かに「機甲」とかは言われたみんなぱっと想像できるものなのかな?と思いながら読んでました笑。人工知能とかはさすがにもう注釈なしでも大丈夫かなとは思いますが。跃迁点は日本語版だとそういえばワープになってましたね。色んなフィクション読んでたらワープって言われたら別に説明なくても大体想像できそうですもんね。
という感じで中盤は残次品の内容にかなり触れてるので、読んだ人ならアア~~~となるんではないかと思います。私は「陸必行は人類に対して借りがある」という言葉が刺さって泣きそうになりましたが、読み返したら陸必行くん自身がちゃんと作中で言ってましたね……どうやったら陸必行くんみたいな生き方ができるんだ……。
このへんの話めちゃくちゃしたいので、早く日本語版の連載が進みますように!
インタビュー②では黙読、有匪、大哥、無汚染無公害のお話をされていてこれまた面白いのですが、またの機会に紹介記事を書きたいです。
書きました⇒priest先生のインタビュー記事紹介②~默读・有匪・大哥・无汚染、无公害~
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