破云(破雲)の感想文
ツイッターでもブログでも書いてる気がしますが本当に面白かった!とにかく展開に飽きさせずダレるポイントがなく、派手な見せ場が多いのかな?
あと淮上先生はなんとベッドシーンとか性描写になるとAO3に補完文を上げてくれるので……。「破云 ao3」とかで検索すると普通にトップに出てくるやつだと思います。
続きでネタバレあり感想です。
ちなみに続編の呑海は漫画がピッコマに来ているのですが、少しでも破云を読みたい気持ちがあってネタバレを避けたい人は呑海に手を出す前に破云を読むことをお勧めします!!何も聞かずに破云を読んでください!!
あらすじとしては、三年前に大規模な麻薬組織を一網打尽にする作戦で死亡したと思われていた元麻薬取締隊だった江停が昏睡状態から目を覚ますところから始まります。退院後、とある事件の捜査にやってきた刑偵隊副隊長の厳峫と知り合い、言い争いをしながらも一緒に危機を乗り越えていくうちに麻薬王の存在と江停の過去が浮かび上がり……という感じのお話です。
最初はわりと仲悪いけど一緒に捜査をしていくうちに距離が縮まっていくというのは黙読パターンなのですが、とにかく江停に秘密が多すぎるので、同居し始めるのはけっこう早いのに本当に心の底から気持ちを告げ合うまでが長くてやきもきしながら読んでいました。感想メモを見返すと14章くらいで家に上がってるし40章で合いカギもらってる!早いよ!
めちゃくちゃ色んなことが怒涛のように起こるので感想としてまとめるのが難しいのですが、厳峫が面白い男過ぎて、P大作品を多く読んでたこともあり温柔攻に慣れていたのでこんなにやんちゃな攻め久々に見たよ!となりました。ハンサムで身体能力に優れ背も高く実家もお金持ちという条件だけ見るとパーフェクトなのですが、お見合い連敗中なのも納得なデリカシーのなさ!デリカシーもここまでないと逆に面白いです。まだ自分の恋愛感情を意識してない頃から江停が長くて太いものや液体を口に入れるのに過剰に反応するし、江停が女性に興味ないと知るとハッ自分に片思いしてるのでは!!??ってなったり、思考回路が中学生みたいなのですが、でもそんな厳峫が真剣に恋愛感情をぶつけてくるのにぐっときちゃうんですよね。そしてそんな厳峫に江停も心惹かれてるのはわかるんですが様々な事情で本心を明かそうとはしないし、でも厳峫が大怪我をすると泣いてるし、「自分には昔から家族もいないし友情のようなものもわからない感情のない人間で、でも今自分の心の一番近くにいるのは君だ」って言ってくれるところは絶対本心に決まってると思うのにいつかふっといなくなってしまったり裏切ったりするんじゃないかという不安が消えない、そういうカップルです。
しかし70章代くらいの感想見てるとここでもう一緒に暮らしててキスするのも受け入れてくれてて一緒に寝てるんですよね。このへん相対的にまだ両思いじゃない頃なんですがどういうこと???厳江は両思いになる直前の四捨五入するとほぼ両思いみたいな時期(しかもキスとかはしてる)がすごーーーく長いので、私はそういう時期好きなのでだいぶ楽しみましたがやっぱりもどかしかったですよね笑!そのあと3週間くらい二人で家に閉じこもってずっとセックスしてる時期があるんですよ。これは余談ですが江停の「キスしていいキスしていい」とか「嫁ぐ嫁ぐ嫁ぐ」とかしょうがない感じで厳峫を受け入れる時の繰り返す口癖?が好きです。そういう感じでジリジリする二人なので大団円!!という感じで結婚式まで見せてもらえたのは嬉しかったです。現代舞台の作品でここまで結婚式そのものをやったカップルは初めて見たかも?
あとは破云の見どころどこかな~。カーアクションかな?カーアクションがすごく多くて、なんか敵組織がやたら自動車を使って暗殺してこようとするせいですよね。死体を轢いてぐちゃぐちゃにするのも自動車に轢かせる……。一番手に汗握ったのは厳峫の車に仕掛けがされていて高速道路で大事故を起こして谷に落ちそうになるところを江停が猛スピードでかっ飛ばしてきて体当たりで無理やり止めるとこで(説明が下手でスリリングさが全然表現できてない)あれは本当にすごかった。高級がが次から次へと破壊されてすごい作品です。
事件に関しては次々色んな情報が明かされるので全部は書きませんが、三年前の麻薬組織殲滅のためのプラスチック工場での作戦というのがやはりキーポイントで、江停自身にも非常に大きな秘密があるのですがその上で江停も知らなかったことがあり、このへんがとにかくつらい……!主人公二人は作品通じて命がいくつあっても足りないような生死をさまよう場面が何回もあるんですが、私はなんか江停が躊躇いなく人を殺していくところが胸が痛かったです。とくに警察の人間を手にかけたときは(その人物も罪がある人間ではあるのだが)もう厳峫のいる世界に戻るつもりはないんだろうなと思えてしまって切なかった……。そして自分の命はもう失われても仕方ないものとして厳峫を生かそうとする江停、そういう江停に対して激怒する厳峫、だけどキスをしていると怒りよりも愛情の方が勝ってしまう厳峫……という場面は泣けてしまいます。
あとは呑海の序盤から出てきちゃう存在がネタバレな秦川について、厳峫との友情がすごく好きだったので、というか秦川がこれまでやってきたことが明らかになり警察の敵になってもそれでもなお友情がなくなったとは思わせてくれないのが逆に泣けます。スペードのKとはスタンスがかなり真逆っぽいところもいいですよね、秦川。人間らしい一面も多いにあって、それでいて執着のようなものがあんまりなくてカラッとしている。だけど厳峫との友情は(昔のようにはいかないけれど)大事にしているように感じられて、父親とのあれこれは淡々としているように見えてやっぱり秦川にとって大事な部分だったんだろうなと思わせてくれる人物で、これから呑海読んでいこうと思うのでまたどういう風に登場するのか楽しみにしたいと思います。そこまでガッツリストーリーに関わる感じではないのかな?でもそれはそれでお楽しみ要素っぽくて好きな感じかも。
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