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撒野の感想文 ※漫画の日本語版タイトルは「君と掴む光。」です

原作読み終わりました!めちゃくちゃよかった~!
よく考えたら日本語版の漫画から入って原作読み始めたのって初めてかも?ちょっと記憶はあやふやなんですが、私は日本語版の漫画を45話くらいまで読む→我慢できずに快看で85話くらいまで読む→原作を本格的に読み始める……という流れでした。
この前ちょっとだけ書きましたが、お話の出だしがけっこうしんどそうな設定だったので身構えて読み始めたのですが、今まで読んだ作品の中でもダントツにいい話だった!と思います。いや他の作品もいい話なんですが、ストーリー自体の前向きさと希望が感じられる感じと周囲の人たち(とくに友人関係)が基本的にいい人ばっかりだったからそう思うのかも。あと某某と比べると、まあ某某の教師陣も悪い人たちではないのですが徐先生ができた教師過ぎてそこもいい話ポイントが高いです。

あらすじはせっかくなのでピッコマを引用させてもらいましょう。

https://piccoma.com/web/product/118535

お前がいれば、俺はしっかりとこの世界に立っていられる。優等生で裕福な暮らしを送っていた蒋丞(ジャン・チェン)は、自分が養子であることを知り、「本当の故郷」製鋼工場のある町に帰ることにした。そこに実父がいるが、毎日酒とギャンブルに溺れている。一変した環境に慣れない蒋丞は悶々としている時に、この町で生まれ育ったヤンキーの同級生・顧飛(グー・フェイ)に出会う。二人が寄り添いながら成長していく「救い」と「希望」の物語がここから始まる。


続きでネタバレ感想です。





物語の核としては、家庭や生育環境の事情で将来に希望を持てなくなっていた二人が偶然出会って思いを寄せ合うようになり、それぞれの目標に向かって道を歩んでいくようになるお話なんですよね。主人公の二人の家庭、とくに父親が本当に最悪で、顧飛の父親は故人ではあるものの子供たちに暴力を振るっていて、死んでなお顧飛たち兄妹の心理的な部分に強く影響しているような存在です。蒋丞の父親の李保国も、顧飛は李保国の方がマシって言ってたけどいや~~~アルコールとギャンブル中毒で、わりとキツいエピソード色々あったけど店側の手違いで買ってない商品を故意に持って帰って返してほしいという店側の頼みもそっちの手違いだろうと追い出して手に入れた商品はすでに売ってしまったあとで、店側に蒋丞が息子さんですよね、なんとか説得してくれませんかって言われるやつかな……。元々蒋丞は引っ越してくる前は偏差値の高い学校に通っていて成績も優秀で、でも「実の父親」のもとで暮らしてると勉強を頑張って進学して……みたいな希望が持てなくなる感じで。ところで私の読解不足かもですけど蒋丞が李保国のもとで暮らすようになったのは一応親との言い争いで売り言葉に買い言葉でって感じで合ってます?いや(養)父母の方もそういうこと言うのどうなのって感じではあるのですが。蒋丞は優等生って書いたんですがたぶん他の兄弟はもっと優等生で養父母は蒋丞の欠点をあまり良く思っていないようで(本棚見ていいかって顧飛に聞いたときの会話とかそういう描写ですよね)、そういう蒋丞への不満がたまった末にお前は本当はうちの子じゃないんだよって言いだしたのかな?そう思うとひどいな。李保国がひでえ父親だっていう話をしてたんですが、読んでくうちに蒋丞の養父母もけっこうなんだかなってなりますよね。そういう閉塞感もあるなって今気付きました。李保国の最悪エピソード色々あるけどやっぱり死に方が一番最悪じゃないですか?狂言自殺で散々近所の人たちを注目させておいてそれだけでもだいぶ最悪だけど本当に死ぬのがさらに……あれは蒋丞トラウマになる……。いい話だって書いたのに最初っから最悪話を山盛りしてすいません。でも本当に李保国のエピソードが撒野のキツい部分のツートップなので……。
じゃあもう一つのしんどい話は何かというと、顧淼(二淼)の話だと思ってます。二淼は顧飛が本当に大事にしてる妹で、亡き父親の暴力の被害者でもあるんですが、後半で顧飛が蒋丞と付き合って二人の間に将来の話が出てきそうになると絶対に避けては通れないのが発達が遅れている二淼がいる限り顧飛はこの街から離れられないってことなんですよね。母親も悪い人ではないかもだけど、いつも自分の恋愛のことしか考えていなくて子供の面倒をみてくれる親ではない。そして顧飛は蒋丞のことを本当に好きだから蒋丞のように優秀な人間はこの街にいるべきではないと思っている。だから二淼の状態になんらかの進展がなければ必然的に二人は離れるしかない……。もちろんそれでよしとする蒋丞ではないので、進学して自分の大学の勉強とアルバイトの合間になんとか二淼の治療の手がかりになることはないかと勉強をして、顧飛はそれが蒋丞の負担になっているのをすごくつらく思っていて、顧飛自身も自分の勉強と二淼の世話・治療にいっぱいいっぱいで蒋丞から距離を置いてしまう……というのが李保国が死んだあとの二つ目のつらいポイントでした。作品を読み始めた当初は顧飛はすごく達観していて成熟した性格だと思っていて、だからこそ後半の顧飛が蒋丞を愛してるがゆえにどうしようもなくなっていくのが本当に胸が痛かったです。二淼の件は、友人関係の縁がきっかけで希望が持てる方へと好転し、後半から私はケアを受けるべきは顧飛の方だよな~と思っていたのでそれもあわせてしっかりフォローされる展開でとてもよかったです。やっぱり二淼には希望でいてほしいもんね。引っ越し前からの親友の藩智や四中時代の友人関係もすごくよいのですが、蒋丞が大学で出会った人たちみんないい人でそれもお話の爽やかさになってると思います。ルームメイトの趙柯のありがたい感じのドライさがあるやさしさとか、あとはとにかく許行之先輩に出会えて本当によかった!!!!!中でも許行之先輩が蒋丞に言った、「全ての希望を妹の身上に託さないように、こういう交換的な心理は君たちにとってよくない」っていう言葉が正論過ぎてこういうことを言ってくれる人がいて本当によかったと思ったのでした。私は許行之と李炎に何かあったらよいな……とこっそり思っているのですがさすがにカップリング脳過ぎるでしょうか?
とまあしんどい話をつらつらしてしまいましたが、主カプの二人は後半の進学にともなうギクシャク以外は基本的に相思相愛いちゃいちゃカップルでした。告白のやりとりも甘酸っぱいし、両思いになった直後に彼氏ができた!って浮かれてる蒋丞めちゃかわいいし、何が一番かわいいかってプレゼントの類がてるてる坊主とかアイロンビーズとか自作のものを送り合ってるのがかわいいです。あとわりとずっとお互いに俺の彼氏かっこいいな……って思い合ってるのもかわいい。今ピッコマで56話まで配信されてて、62話で両思い手前の衝動的なキス(とそれ以上の接触もしてますよね)(散らかったティッシュ…)がすごいドラマチックで大好きなのと、73話がその甘酸っぱい告白回なのでピッコマで読んでる人はお楽しみにしててほしい!!性的な接触はけっこう最初からしてるんですが、挿入ありのセックスに至るのはもうちょっと先かな?あとこのカップルはリバで、蒋丞が挿入してる時もあれば顧飛がしてる時もあって仲良くいちゃいちゃしながら入れる方が決まってる感じもすごいよかったです。中国語で情報調べてたときかな?顧飛の方が入れられることが多いっぽいって見た気がするんですがたぶん両方おんなじくらいだと思う~。蒋丞の方がムラムラしてることが多いけど時々顧飛の方がガっと発情しててキャーとなったり。あと撒野はセクシュアリティのカミングアウトについてもけっこう描写を割いている感じがして、主カプ二人は元々同性愛者だという自覚があって、あと李炎とか許行之とか他にも同性愛者の登場人物もいて、うまく言えないけど性的指向のカミングアウトには信頼関係が本当に必要だな……と思わせてくる感じ。なぜ信頼関係が必要なのかといえば世間の偏見と抑圧が強いからなのですが……。でも終盤には大学のルームメイトたちの彼女たちと二淼とみんなで旅行に行ったり(藩智はがんばれがんばれ)カップルとして青春を謳歌してるところとか本当によかったな。
あと何よりこの主カプのいいところは、お互いに出会えたことで前向きに生きていけるようになったところ、そしてそれを相手に伝えあってるところが本当にいいなあと思うのでした。進学後にしんどいことがあるのは本当なんですが、顧飛が進学するまでの心境の変化もこれかなり蒋丞の影響が大きいことがすごくいい話で、学覇の彼氏に付き合って勉強の手伝いをしているうちに自分の成績もよくなっていったというのもそうなんですが、蒋丞の自信家で比較的楽天家なところが顧飛のすごく救いになってるんですよね。顧飛はよくいえばリアリストで、その分悲観的なところがあって。でも蒋丞と一緒にいるとすごくいい影響を受けてるんですよね。あと個人的に進学関連のエピソードで、顧飛が徐先生に教師になりたいって言うところで泣きそうになりました。いい話だ……!徐先生、生徒たちからは若干鬱陶しがられてるけどマメでそれぞれの家庭環境のことも気にかけてくれるけど踏み込まれたくないところは心得てる教師で、蒋丞と顧飛が将来の希望を持つにいたるのに欠かせない存在だったなあと思います。ところで受験のエピソードで二人とも努力した分ちゃんといい点を取れてるの撒野のいいところですよね。ここでなんか失敗とかで無駄に悲しい展開にさせないところがなんか作劇としてちゃんとしてるな~と思ったのでした。





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