忍者ブログ

将進酒(将进酒)の感想文

唐酒卿先生の将進酒を読み終わりました!
時間かかるだろうな~とは思ってましたが丸々3ヶ月かかりましたね。犯心の方がちょっと長かった(同じくらいかも)んですが、現代ものとちがって人物名と肩書きをメモしながら読まないとわからなくなってしまい……。とくに将進酒は登場人物がめちゃくちゃ多いことでも有名ですからね。そして肩書きが馴染みがない名称の物が多い上に、人事や政変で肩書きも変わるから……。
鎖は多いんですがちょうど韓国語版が完結したところで、章のナンバリングも晋江と同じなので補完しながら読むことができてそこは読みやすかったです。

続きでネタバレあり感想です。




ピクシブ百科あるんであらすじとか知りたい人はそっち読んだ方がいいかも!ただサブカプ紹介がけっこう踏み込んで書かれてるのでネタバレ避けたい人はあらすじまでに留めておいた方がいいかな?とも思いました。
事前情報は馬上セックスとラジドラがエロいということくらいしか耳にしてなかったんですが、政治と戦争の話が入り組んでる上に膨大なので確かに情報としてはそのくらいしか出回らなさそう……と思ったり。主カプ関連はけっこうネタバレ多くなるし、周辺人物関連の話は読んだ人にしか通じない!
主役カップリングは悪犬×狂犬ということでバチバチに憎しみ合ってる感じの二人かと思ったら、まあ序盤はわりとそんな感じなんですがけっこう両思いになるのが早いのも意外でした。なので上巻からけっこうラブシーンが多く、そのへんは読みやすさに繋がってるかもしれないです。ご褒美の飴が多い感じ……しかしつらい展開は容赦なく訪れ……。殺破狼の時も似たようなこと書いたかもですが、仙侠みたいなファンタジーの容赦ない地獄っていうよりは架空歴史ものなせいかしんしんと胸に刺さる悲しみ……ていう感じかもしれないです。仙侠と違って死ぬほどのダメージを受けたら死ぬし、寿命が来たら死ぬ世界観だからかもしれない。
私が一番つらい!!と思ったのは蕭方旭の戦死ですね。基本的に離北メンが好きなので、その離北の大黒柱たる蕭方旭が辺沙に首をとられるというのはショックが大きく、あとその直前の蕭馳野とのやりとりが雄大な離北の情景描写と相まってすごくよかっただけにその落差がつらい。離北自体はお兄ちゃんの蕭既明が世子として跡を継いでおり、蕭馳野は禁軍としてスタートする一方で自分だけの離北鉄騎を作りたいと言っていて、するとやはり父親の喪失というのは乗り越えなければならない苦難として当然やってきそうだなと今なら思えるんですが、それでもやっぱりつらいよ~~~。
しかしなんやかんや蕭馳野は親兄弟や家臣団に囲まれて育ってるのに対して、沈澤川は本当に天涯孤独で家族周りの運が悪過ぎる。読み始める時は沈澤川と狂犬というイメージがどういう感じなのかあんまり想像できなかったんですが、沈澤川という人間は本当に……すごすぎる……。でも中博の(沈衛の)事件がなかったらさあ、紀家で師父と兄と一緒に平和な一生を送ってたんだろうなと思うと、あの苛烈な才能と生命力は苦境によって無理矢理開花させられたものなんだな……という悲しみがあります。まあでもそしたら蕭馳野とも出会えてないか……。沈澤川にとっての蕭馳野みたいな、配られたカードはめちゃくちゃ最悪だけどそれを全て逆転させるジョーカーのような存在との出会いみたいなやつはぐっときます。通して読むと本当にこれは沈澤川の一代記なんだなあと思います。
主カプ以外だと私はサブカプの松玉が刺さるタイプの人間で、こっちは本当に……。松玉と呼ばれるサブカプが喬天涯(喬松月)×姚温玉だと気付いたときにわー!っとなってから進展までにけっこうかかるのですが笑、山場が急にやってきて、しかし行く手が不穏で……というカップリングで、あの……結末は書かないので読んでみてください……。読み終わってみると喬天涯って第三の主人公といっても過言ではないですよね。序盤はあんまり個体認識できてなかったので、もし今後読み返すことがあったら喬天涯視点で読み直してみたいです。無料分からVIPに切り替わるあたりのところでちょっと目立つキャラクターだな?と思ってからいつのまにか沈澤川の片腕のような存在になっていたのですが、「松月」って誰だ?となったあたりから始まっていたのかなーと思います。あと喬家の親世代の話もかなり大事なんですよね。
それ以外の人物の話だと、費盛をずっと応援してしまうとか離北副将組が昔なんかあってほしいとか丁桃はかわいくて有能だとかそういう話はちょこちょこあるのですが、やっぱり李剣霆の話でしょうか。李剣霆、めちゃくちゃになった大周王朝に現れた異色の女帝ということでついつい期待を向けてしまうのですが(女帝に到るまでのストーリーも血を吐くような道のりがあり……)最終的には主人公たちとは対立する側にならざるを得ず、薛修卓との師弟関係も含めて胸の痛い最期でした。師弟っていうのもね、確かに師弟なんだけど薛修卓はあくまで臣だったっていうところとかね……。沈澤川vs李剣霆ってどっちもサバイバーだからどうしても悲しみが残るんですよね。師弟といえば沈澤川を導いたのが斉恵連だったというのが最後の最後の最後の最後まですげーーーー大事ですごい!!となったのですが、薛修卓は斉恵連を李剣霆の王師にしようとして断られたことがあったので、結局明暗もそこだったりするのかもしれないです。



拍手[9回]

PR