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有志翻訳と著作権

最初に書いておくと私は著作権など法律の専門家ではなく、色々調べた情報+私見という感じの文章だということを念頭に置いて読んでください。
ちなみに著作権の基本的な話は「18歳の著作権入門 」おすすめです。ただあんまり翻訳権の話は出てこないです。



中華BLの原作、とくにまだ日本語訳が出ていないものを読もうとし出した人なら、中華BL(大体晋江文学城の)有志翻訳なるものをどこかで一度は目にしたことがあるのではないかと思います。
私もまだ魔道祖師の日本語版発売の情報が全然なかった頃にそういうものがあると知ってびっくりした覚えがあります。公式から許可をとってるとも書いてないし、「これって大丈夫なの?」と思った人もけっこういるんではないかと想像します。
先に書いておくと、原則著作物を無断で翻訳すると著作権の侵害だと思います。
著作者の権利の内容について(文化庁)
「翻訳権・翻案権等(27条)」「著作物を翻訳し,編曲し,変形し,脚色し,映画化し,その他翻案する権利」とあります。
あとはこんな事件も。
海外映画を無断翻訳、「日本語字幕」を公開して逮捕…「字幕の著作権」の注意点
日本コンテンツの無断翻訳検挙に関する報道について
そういえば翻訳関連だとどうしても国際間の著作権問題になるので、国によって法律って違うんじゃないかな?と思うのですが、一応そのあたりを調整する文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約というものがあって日本も中国も加盟してるのですが、これ簡単にいうと〇〇という条約ですって私が要約しちゃっていいのかな???海外の著作物も国内著作物と同等に著作権を保護しようということ……で合ってます?
無断で著作物を翻訳してそれを公開すると著作権侵害になり、よく見かける「無料公開分を訳しました」というのも例外ではないわけです。許可があればOKで、他言語のファンフィクをファン同士で許可をもらって翻訳したりっていうのもありますよね。著作権が切れてる海外文学作品をファンが趣味で訳して公開してる、みたいなのも見かけます。
じゃあどうして中華BLは(他のジャンルはよく知らないのですが他だと海外ゲームで有志翻訳の話題はよく見かける)こんなに色々許可なし有志翻訳が公開されてるのはどうして?となると思いますが、これはもうただただ慣習で、公式が今のところ取り締まる様子を見せていないからだと思います。
有志翻訳があるのは日本語だけではなく、むしろ英語とかスペイン語とかの方が本場という感じがして、日本語圏は有料分から購入証明とかパスワード制で……みたいなやり方が多く見受けられますがそういう制約もほとんどなく原作をちゃんと購入してくださいというアナウンスに留まるような有志翻訳もけっこうあり……。いないと信じたいですがこれを見て原作買わずに全公開されてる他言語の有志翻訳読み出す人がいないとも限らないので、このことを書くかどうかちょっと迷ったんですが、とにかくこの慣習はすげー広い範囲で行われていることだという話をしたかった……。あとしつこいようですが、無料分だから公開してOKというわけではないです。
そしてなぜ公式は取り締まらないのか?ということはもうわからないとしか言いようがないです。少し前に晋江が有志の(英語)翻訳を募るという案内をしたことがあって、それを受けて英語有志翻訳が公開を制限し出したのを見たことがあるので、もしかしたらそのへんはちょっと対策だったのかな?とも思ったりしますが。日本のDListeも似たような取り組みをしていますね!なぜ無断の翻訳&転載が横行するかといえば公式の翻訳がないからであって、公式の翻訳があればみんなそっちを正規の手段で読むだろうということですよね。
ここからは私の完全な私見になるのですが、法的手段を用いて訴えるような手段をとってくる可能性は今のところ少ないんじゃないかなあと思っていて、各言語版公式が有志翻訳やってた人を公式にリクルートしたりしている事例がいくつかあったり、あとは作者さんが把握しててとくに何も言ってなかったり……というのも見てそう思っている次第です。もちろん各言語の公式=大元の権利者というわけではないのですが、少なくとも取り締まろうとはしてないんじゃないかなーと。
ただし現時点での予測でしかないので、例えば今後もっと悪質な事例が出てきたりしたらそれなりの手段をとる可能性もありますが。(しかしまんま無断転載の海賊版書籍も全然取り締まれてないのでなかなか手が回らないのが実情なのかもと思ったり)
私のツイートやブログを読んでる人は薄々感づいてる人もいるかもしれませんが(いないか)、私は上記の理由でやはり無断の翻訳は著作権侵害になると判断してしまったのでツイートとかブログで広めたりRTしたりはしないという方針でやっております。正直に言えば中華BLを知り始めた頃には何作品か読んだりしたことはありますが今はもう読んでないです。(そもそも手を広げ過ぎて読もうにもないということがほとんどになった)とはいえやってる人に対してやめろと言うつもりはなく、なぜなら私は別に権利者ではないのでやめろと言い出すのも越権的だなーと思ってるという、消極的に支持していないタイプです。やったり読んだりしている人は各々の責任のもとやっているのでしょうから私が口を出すところではないというところです。公式が何も言わないなら私が口を出すことではないと思ってる。まあちょっとずるい言い方かもしれませんが。
あと、著作権の在り方として私は豊かな文化の発展のために著作物・著作者を守るために存在しているのであって、厳格に取り締まることそのものが目的ではないと思っているからです。これを鑑賞者の立場でいうのも図々しいかもと思いつつ、コンテンツの越境ってどうしても権利の侵害が起きてしまうもので、例えばアメリカのアニメ配信サービスのCrunchyrollも元は違法サイトだったのが正式に契約するようになったという経緯があったりして、なんかそういう取り締まり以外の道があるといいんじゃないかなあ……とか。あと中国で耽美が流行したのも日本発のBL・やおい・JUNEの影響がけっこうあると思うんですが、無断転載・無断翻訳がかなり出回ったことってやっぱり大きいと思います(「中華BL用語大辞典」に書いてあった)。それを正当化したいとか、だから中国語BL無断翻訳されても仕方がないとか言いたいわけではなく、どうしてもそういうことは起きてしまうからうまく正規の手段でコンテンツの越境ができるシステムがあるといいよねという話です。
それから著作権にまつわる摩擦は個別に色々詳細が異なり、第三者が口出すと余計面倒を起こすのではないかという危惧もあるのでこうしてブログで書いたりするのにとどめている、みたいなところもあります。気付いた人だけこの文章は読んでもらえればいいやと思ってるのでツイッターで更新告知もしないつもりです。



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