忍者ブログ

过门の感想文

大哥が面白かったし好きな感じだったので、同じ現代もので読みやすそうかな?と思ったのと短かったのでさっと読もうと思って过门を読んでました。確かに同じ現代ものの黙読や大哥に比べたらヘビーさはそこまでではないものの、主カプ二人の恋愛物語がメインストーリーなので恋愛のつらさが詳細に描かれててそういうつらさはあったかもです。


続きでネタバレあり感想。





お話は徐西臨が学生時代に別れた相手の竇尋と再会するところから始まります。六中高校の問題児たちのグループの一人でクラスの人気者の徐西臨は、いけすかない転校生だと思っていた竇尋が家庭の事情で徐家に預けられて一緒に暮らすことに。全然馬が合わないと思っていた竇尋だったけどいじめっ子に絡まれていたところに割って入ったところから懐かれるようになって、次第に徐西臨の方も竇尋を意識するように……という青春恋愛譚が前半のあらすじですね。
まず感想として主カプの話を差し置いて蔡敬の話をするんですが、蔡敬みたいな人物がこの甘酸っぱくてほろ苦い青春から大人になる恋愛物語の大事な部分になってくるめちゃくちゃP大節だな!!!!と思いました。ヘビーさはそこまでではないって書いたけど蔡敬の話めちゃつらいですよね……。叔父の家に預けられてるけどその叔父が飲んだくれのクズで、高考(大学受験)のお金を持って行ってしまうところ、叔父がクズなのはもちろんなんだけど蔡敬がまだ子供で銀行に預けたりする方法を知らないし受験のためにどんなお金がどれだけ要るかもわからなくて……みたいなところが本当につらく……。叔父を刺し殺しても全然ハッピーではなく(それはそう)、十何年も懲役刑を課せられて、でも物語の後半で蔡敬が出所してきて「非主流」の男子四人でつるんで過ごすようになるところは好きだな~。老成もめちゃP大キャラという感じですよね。徐西臨と竇尋が恋愛関係にあることを二人が知ったときに、絶句する老成に対して蔡敬がそうか、それなら全部合点がいくな、って言うシーンが私はとても好きです。
そう、过门は二人が別れるくだりもつらいのですが、現代が舞台の作品で一番社会の同性愛に対する抑圧がしっかり描かれていてそれもつらいんですよね。さっきからつらい話ばっかりしてるな!?戦争とか政治とか大事件とかそういうでかいカタストロフィーが起きるわけじゃないんですが、等身大のちくちくとした社会で生きることのつらさみたいなものがその分よく書かれてる気がするんですよね。会社員生活のつらさとか……。竇尋の父親みたいな自分勝手な言い分で別れろって言ってくるのは腹は立つけど反抗する気持ちになるんだけど、一番つらい……と思ったのは徐おばあちゃんのくだり……。二人とずっと一緒に暮らしてた徐おばあちゃんは二人の関係に実は気付いてて、入院してもう先が長くないと思った時に出てくる言葉が「……小尋とはもう一緒にいない方がいいわよ」(ちょっと訳合ってるか自信ない)なの、その後の目の前が真っ暗になるほどショックを受ける徐西臨の姿は本当に胸が痛かったです。世間の同性愛に対する偏見というのはそれはそうなんですが、身内のことってそれだけじゃ折り合いがつけられないよね……というつらさ。だからこそ終盤の同性恋敬健康和自由!が嬉しかったり。それから徐進みたいな母親キャラ珍しいな~~いいな~~と思って読んでいたので突然死してしまったのも悲しかったな。なんかつらいエピソードばっかり思い出してしまうな……。
しかしながら先生的には小甜饼的正文と言ってるので、確かに主カプのいちゃいちゃシーンはめちゃくちゃ多い!!本当に多いです!!短いせいもあるかもだけど初めてキスするのも早いし(王様ゲーム!)(呉濤は最低)、その時竇尋は自分しか意識してないと思ってたけど徐西臨の方もその時のアイスティーの味を覚えていたっていうのも甘酸っぱいエピソードですね。最初は竇尋→徐西臨で戸惑いつつも自分も竇尋のことが好きなんだと自覚するのもけっこう早かったし、何より一つ屋根の下に暮らしてる学生時代にくっついたのでノンストップでちょっと時間があるとす~~~ぐいちゃいちゃし始めるので、priest先生こういうBLも書くんだ……という新鮮さがありました。じゃれあいみたいな軽めの性的な触れ合いの描写が好きなので、ありがとうございます……!という気持ちで読んでました。からの胸が苦しくなるような甘酸っぱい初夜失敗……!でも私はこういう『(主に挿入を伴なう)セックスをしなくても(できなくても)それなりに仲良くいちゃいちゃして楽しく過ごした』的なカップリングがめちゃくちゃ好きなのでこれも嬉しかったな~。でもこのままなんとなーーーく一線は超えないまま続いていくのかと思ったらわりとすぐ『前回よりずっとうまくい』ってしまった!!竇尋よかったね~~となりました。欲求不満のまましばらく過ごしてるのもよかったけど、コンドームと潤滑剤を持って待ち構えている竇尋かわいくて好きな場面です。
二人が再会してからはけっこうもどかしい感じでなかなかすぐに寄りを戻すというわけにはいかないのですが、竇尋が徐西臨もずっと自分のことを忘れられなかったのだと思い知る場面は自分も予想してなかったので竇尋と一緒になって(待って……待って……)てなりながら読んでました。ただ終盤であの事故のエピソードはちょっと蛇足じゃないですか??私はあれなくても……心情の話と人間関係の話で十分ヒリヒリするお話だと思ってたのでちょっとそんな展開ある……!?と思ってしまったのでした。




拍手[1回]

PR