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有匪の感想文

priest先生の有匪を読み終わりました!
フォロイーさんがわりと王道な武侠のストーリー(主人公が作中で強くなっていく話)って言ってて、確かに有匪読んだおかげで武侠の楽しさ?みたいなものがちょっとわかってきたような気がします。
ちょうど日本でもドラマ版の「有翡」が放送されてたタイミングだったので、有匪の日本語感想はあんまり見当たらなかったんですがドラマ版の感想を検索しては一方的に感想を共有してる気分になれて楽しかったです。感想を検索しただけであれこれ言うのもどうかなという感じですが、あーこのへんとかこのへんとか改変してるんだろうな~というところがわりとあったので(もちろん実写化に伴っては完全に原作をなぞる必要はないと思ってるけど)配信とかあったらそのうち見てみたいです。李徴おじいちゃんがイケメンとのことだったので見たい!李徴おじいちゃんは作中の罪過ぎるモテ人間ナンバーワンですからね……みんな李徴のことが好き……。


というわけで折りたたんでネタバレあり感想です。
武侠ものなので(?)わりと登場人物の生死に関する言及多いです。






あらすじとしては正統な王朝(南朝)とそれを簒奪しようとした北朝が争っている時代、蜀中の山奥にある門派・四十八寨の当主の一人娘である周翡が謎の青年・謝允と出会って政変に巻き込まれながらも様々な敵と相対することで強くなり、江湖の謎である海天一色の秘密に迫る……って感じかな?
武侠は次から次へと新しい敵が出てきて戦って……というのが続くところがストーリー把握が難しいところだなーと個人的に思ってるんですが、それでも印象的な戦いは確かに熱かったです。まず序盤で一番熱いのは段九娘のエピソードですよね。この時に段九娘から(半ば無理矢理…笑)仕込まれた枯栄真気がのちのちまで周翡の強力な武器になるわけですが、李徴への片思い、姉とその息子との関わり、何より2巻ラストの貪狼戦!周翡たちを先に行かせて一人で貪狼と禄存を相手にする往年の枯栄手というのがまずめちゃくちゃ熱く、そしてやられたと思いきやそこから禄存への反撃、さらに一応仲間ながら禄存に思うところのあった貪狼が禄存ごと段九娘を……という何段階にもわたって悲鳴を上げさせられるこの構成。枯栄手vs貪狼という因縁はわりとのちのちまでも引っ張られ、北斗七星の七人のうちでも貪狼はかなり別格の扱いですよね。活人死人山の中だと朱雀主がやっぱり最後まで重要だった感じ?重要な人物はどっちも序盤から出てきてるんですね。
3巻の三春宿の面々と青龍主戦のお話も熱くてよかったです。単なる宿の料理人と番頭だと思ってた人たちが有名な侠客だったり……みたいなところはお約束かもしれないけど盛り上がるし、あと青龍主戦を経て周翡の名が知れ渡るようになるところも大事なポイントですよね。まあ青龍主を倒したのは……というところも含めて。紀雲沉大侠が自分の因果を自らの命で贖った(という表現が適切かわかんないですが)ところは、武侠…人がどんどん死ぬ……となりました。しかしこの時にヘビーなバックグラウンドを明かされた殷沛が終盤であんなことになるとは。ていうか殷家と山川剣のあたりの話が複雑でけっこうわかってないところが多い気がします。
話変わりますけど謝允の正体がわかるのも3巻のこのへんで、しかし端王爺って南朝皇帝の甥なんですがドラマだと皇帝になってるっぽく?というのが気になるからドラマを確認したい所存……。クライマックスの皇帝(皇叔)と謝允の関係性がめちゃくちゃ好きだったので、どういう改変になってるんだろうな~。
四十八寨に戻ってきた4巻は寨の内部で裏切りがあったり人が死んだりで、魚老師叔の死がショッキングだったのと馬吉利の裏切りの話が印象的でした。寇丹が出てきて前の巻でちらっと触れら得ていた鳴風楼だとわかってわーー!となったり。魚老の死はそれ時代もショックなんですが、82章で謝允は本当に周翡のことが好きなんだなとしみじみ実感させてくれるシーンがその死を二段構えで絶望に突き落とす展開なのがやばいです。こんな残酷なことある!?馬吉利の話は周翡が馬吉利が教えてくれた三十三箇条を読み上げるところであの試験の場面がこういう風に生かされるのか!とゾクゾクしました。でもエピソード自体は悲しいですね。
100章を過ぎたあたりから謝允の体を蝕む毒・透骨青の話が明かされます。謝允本人は自分が毒を乗り越えることをほとんど諦めていて、でもそれを一括する周翡の啖呵っていうのがかっこいいんですが、その上で周翡が自分の無力さを思い知らされる展開よ。周翡におんぶされながら謝允が言う「前に端王妃になってくれと言ったのは冗談だから本気にしないで」「私も端王なんかになりたくなかった」がもう……。しかしここから40章くらいの間ヒーローの謝允がログアウトするのどうなんですか!?!?いや、その間の話も面白かったんですが……言情小説……。
そういえば有匪に出てくる海天一色は天涯客の瑠璃甲みたいに実体のあまりない江湖の幻想……的な扱いかな~と思ってて、山河令だと実際になんか壮大なギミックの鍵と武庫が用意されてたので有翡でもなんかそれっぽいものがお出しされたりして?みたいなことを思ったりしました。余談ですいません。
クライマックスは太子を立てる宮廷での死闘×仮面の大魔頭と化した殷沛戦という怒涛の終わり方でさすがに面白かったです。でも序盤から色んな登場人物出てきたけど最後の最後で周翡の側にいて謝允を救うサポートをする役回りは应何从なんだ!っていうところが意外でP大作品っぽいと思ったり。李兄弟とか呉楚楚とか両親とかじゃないんだね笑。
主カプに関しては最終戦前にロマンチックなシーンはあったけど恋愛描写がかなり少なかった印象です。でも私がちょっともえてたのは周翡両親の李瑾容と周以棠夫妻だったので、二人の馴れ初めを番外で入れてくれてサンキューとなったのでした。できれば夫婦になるまでを知りたかったけど!





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