忍者ブログ

大哥の感想文

ちょっとずつ読んでたpriest先生の大哥を読み終わりました!
短いし翻訳機にもかけやすいのでわりとすっと読めました。ただし雰囲気はけっこう重めだな~。
私はめちゃくちゃ好きなカップリングです。長顧とか陸林、とくに林静恒好きな人は兄の魏謙好きなんじゃないでしょうか。
(おすすめありがとうございました)
続きでネタバレあり感想です。
わりと登場人物の生死に関する話多めかも。




あらすじとしては、シングルマザーの母親と再婚相手の父と父親違いの妹と暮らしていた魏謙は両親を失って幼い妹を学生ながら一人で育てていて、ひょんなことから人攫いから逃げてきた孤児の之遠を弟として育てることになり……という話です。1巻はまだまだ一家が経済的に困窮してる話が続き、児童福祉!!!!という感じなのですが、私はとにかくさまざまな事情で学校に通うことを断念せざるを得ない子供の話というのがとてもつらく感じてしまうので、魏謙がまた学校に戻れますように……と祈りながら読んでいました。(なのであのラストは嬉しかったです!)ただ重いだけじゃなくてpriest先生ならではのユーモアが炸裂してるので楽しく読めるんですがしんどいものはしんどい。ゆーて魏謙も子供なので一人で妹を育ててるといっても近所の仲良しの友人やその家族も貧しいながら助け合って暮らしてて、しかしその貧しさゆえにつらいことが起こり……。やっぱり麻子と麻子ママの話つらいですよね。危ういところはあれど本当に死んでしまうとは思ってなかったのでショッキングだったのと、事故で身体障害を持つようになっても福祉に頼ろうとしない麻子ママと、麻子のことを隠しつつ麻子ママを支えようとする魏謙と三胖と。2巻以降の後半は魏之遠(小遠)の魏謙に対する恋愛感情がメインの話になってくるんですが麻子たちの話はずっとあとを引いていて、だから三胖の娘が生まれた時に魏謙が『自分ともう一人』からってお祝いを渡すシーンで『もう一人』が誰のことか気付いて泣いてしまいました。魏謙と三胖と麻子はずっともう一つの兄弟なんですよね。
ところで私はおじいさんとかおばあさんが出てくる話に弱くて、苦手ではないんですがけっこう刺さりやすいというかすぐ泣いてしまうというか。なので魏謙一家におばあさんが加わるという話を聞いてけっこう身構えてしまったんですがこの宋ばあさんのキャラクターの一筋縄ではいかないこと!ただのかわいそうな老人でもないし、憎らしい老人というだけでもないし、しばしば魏謙と衝突しながらそれでも家族としてやっていく……という人間模様。だからこそ52章のあれはめちゃくちゃショックで、よくもこんな話を……でも人間の尊厳ってそういうものかもしれない……。とはいえそれを踏まえて入院騒動の時の魏謙の言葉にもつながってくるんだよな~。52章の中高年女性二人の選択を私はまだなんて言ったらいいかわかんないです。び、BLにそんな話盛り込みます!!???priest先生よ……。
小遠→魏謙は魏謙がとにかく林静恒以上の冷徹鉄壁なので小遠の気持ちを受け入れる日がくるのだろうか……と思いながら読んでいました。弟としてすごくかわいがってるのはよくわかるんですが旧時代的な家長と揶揄されるように同性愛に対して非常に保守的で、弟がゲイなのではないかと知ると医者に相談してみたり(この医者のアドバイスがまた時代~~という感じで)(しかし今もこういう扱いがなくなったわけじゃないしね…)女性に興味を抱くよう美女のグラビアを飾ってみたり、みたいなのがしんどいですよね。P大作品わりと社会の同性愛に対する抑圧をやさしめに設定してることが多い気がするので、そういう点でも大哥はつらさがある気がします。自分の気持ちを打ち明け、拒絶され(それでも兄としての親愛を示してくれようとはするのがなおさら…)小遠が留学に行ってしまい、3巻で再会してからは成長した小遠がかなり『強く』なって帰ってくるのでいいぞいいぞと思いつつ、仕事でも体調でも魏謙が心配な感じになっており。魏謙、一匹狼に見えて宋ばあさんもいなくなり小遠も留学し小宝も家を出て強く孤独を感じてて人の温もりに飢えてるのがわかるので、小遠そこにつけこめ!というよりも胸が痛くなってしまう。あと魏謙に長庚みを感じるのが母親との関係で、母親はレイプされて魏謙を生み、レイプ犯は収監(されてたよね?)、売春とドラッグに明け暮れて、あとほんの少しだけどあの記述は魏謙に対する性的虐待(未遂?)もあって、でも魏謙は母親のことを憎みつつずっと美しい人だと思っていて女の子を紹介されたときも無意識に母親に似てる子を選んでしまうというこの魏謙の母親絡みのエピソードが全部しんどいです。小遠はそのこと自体は知らないけど魏謙があまり他人と触れ合おうとしないのはそのへんに何かあったんじゃないかと考えてる、みたいな記述でしたよね。だから魏謙がどうやって小遠の思いを受け入れるんだろうと思ってたら、(翻訳あってるかわかんないけど)こんな父親と母親がいて、自分はどうして同性愛を恐れてるんだ?みたいな気持ちで小遠と関係を持とうとしたのがめちゃくちゃ胸が苦しかったです。ただそのあと自分が小遠を愛しく思う気持ちを感じたり、比較的真っ直ぐ小遠を愛せるようになったのはほっとしました。その後の描写とか見てもけっこうちゃんと小遠との性的接触を楽しめているみたいで嬉しかったです。私はご褒美は服を着てるのと脱いでるのとどっちがいい?のくだりがめちゃくちゃ好き!中断はされたけどちゃんといちゃついている二人!!クライマックスに向かって小遠がどんどんスーパーダーリン彼氏になっていくのもよかったです。
そんな感じで中盤以降は兄に対する叶わない恋慕と欲望を抱えた魏之遠の苦しみがかなりしんどいのですが、読後感は爽やかというか前向きな気持ちで読み終えられる作品だと思います。本文ラストの一文と、二つ目の番外のラスト一文がしみじみと良すぎる。



拍手[5回]

PR