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小蘑菇の感想文

一十四洲先生の小蘑菇を読み終わりました!!
SFそんなにたくさん読んだことがあるわけじゃないんですが、萩尾望都先生が好きなのでマージナルとかA-A'とかスターレッドとか好きな人に読んでほしい~と思いながら読んでました。

続きでさらっと感想。
結末のネタバレあります。





世界観としては終末世界というか、異種(説明が難しいんですが人間以外の色んな生物…)の感染により人類滅亡の危機で、最後に残った数か所の人類基地を訪れた安折というキノコの少年が主人公のお話です。
安折はとても大事な胞子を人間に持ち去られてしまったのでそれを取り返したいんですが、文案を見ると、安折が陸渢(大佐)を訪ねて「返してくださいQAQ」っていう感じなのかと思ったら想像の十倍くらい殺伐としててびっくりした!!ちなみにカップリングは陸渢×安折です。
陸渢は審判者と呼ばれる役職で、異種に感染した人間を殺す権限があるので安折はいつ陸渢に殺されるかわからないという殺伐した状況から始まる話ですね。
序盤、読み始めなので出てくる登場人物の見分けがつくように頑張ってメモしながら読み進めていったらすぐに全滅してしまったので(ぜ、全員死んだ……)となりました。なので途中で安折の仲間みたいになる肖老板や詩人が前半の基地襲撃のてんやわんやで一応生き残ったときは(生き残った!すごい!!)となるくらい人がどんどん死ぬ。
とにかく人類は極限状態にあるんですが、個人的に印象的だったのはエデンの園と玫瑰花宣言、陸夫人のエピソードですね。(エデン…玫瑰……どこかで聞いた言葉……)萩尾望都作品とか残次品とかやっぱりSFと生殖の話って切ってもきれないのかなーと思って(残次品はそこまで踏み込んではなかったかなという印象だけど)、番外編で本編で書ききれなかった陸夫人の母親の話も読めてよかったです。
かように世界はどんどん滅亡の危機が近づいてくるわけですが、主人公二人の関係はわりと淡々としているというか時々微笑ましいエピソードが挟まるものの関係性が急激に深まるわけでもなく、それでも二人が枕を並べて眠る夜はなんだか切なくて胸が痛くなるようなそんな二人……。私が好きなエピソードは陸渢がじゃがいもばっかり食べてる安折のために自分のカードで食材を買ってあげるところと、安折が陸渢を自分の部屋に泊めてあげたときに人間らしく振舞おうとして(人間はこういう時いろんなものをシェアしてあげるものだ!)と自分の歯ブラシを貸してあげようとしたところです。かわいい二人。あと陸渢がちょっと意地悪な攻めなんですよね。久々に意地悪な攻めを見たので新鮮だった……(甲斐甲斐しく尽くす攻めと面の皮の厚い受けばっかり立て続けに読んでいたため)
後半は胞子を取り戻した安折が北方基地を抜け出したあと、不時着した飛行機に乗っていた陸渢と再会して世界で二人きりみたいな時間があって、でも自分は異種だから審判者である陸渢とは一緒にいられないって胞子を大事にしてほしいっていう書き置きを残して去るところは切なかった。
最終的に人類最大の危機が訪れるんだけど安折の周波数で磁場を得ることができて(正直ちょっと周波数と磁場のあたり理解が難しかった……)、きのことしての寿命が訪れた安折は……それから陸渢の手元に残された胞子は……という感じで、これハピエンなんですか!!??とドキドキしながら読んだんですがちゃんとハピエンでよかったです。A-A'展開になるかと思ったけどそれよりは同一性が保持されていた!
番外では本編よりもだいぶ距離の縮まった二人が見られてよかったです。いいところで事に及ばない陸渢がコメント欄で陸不行陸不行言われててフフっとなりましたがそんな大佐が好きですよ!全然プラトニックな二人もありだなーと思いながら読んでいましたが、夏の日番外は安折からのじわっとした情欲が感じられる回でした。安折も陸渢も言葉でも態度でもあんまり熱烈な愛情表現をするタイプではないのですが、言葉や態度にしなくてもお互いに分かりあえてるという確信のある二人で、二人のそんな雰囲気も好きでした。



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