残次品を読み終わった(~203話)
ところで残次品は後半けっこう急展開があり、この記事で感想書いてる5~7巻の内容は比較的大きめのネタバレあるのでご注意です。
ちなみに残次品は本編の続きの番外編とは別ページでラジドラ完結記念の番外編もあります!
残次品广播剧完结番外
4巻の終わり方がちょっとつらいって書きましたが、あのですねー……5巻がつらい……。
林静恒は何を置いても陸必行を守る、そういう人なのはよくわかってますけど強引に昏睡させて遷移点を破壊し一人戦場に散るのはあんまりだよ……。この時共謀してるトゥーランものちのちかなり心の傷になっていることがわかり……。
将軍は生死不明でおそらく死亡、そんな中一人残された陸必行の肩に第八星系と大量の難民の命運が圧し掛かる第八星系冬の時代が本当につらすぎる。これまでのとにかく誰よりも明るくポジティブで前向きな陸必行というキャラクターが最愛の人間の喪失と政治的な重責で別人のようになってしまうのが見ていて本当に胸が痛かったです。殺破狼でも長庚が政治の世界に身を投じる展開が好きで、読者としては陸信の忘れ形見である陸必行が否応なく政治に関わることになるという展開にわくわくはするんですがとにかくこの林静恒がいない16年(16年!!)で心がズタズタにされているのが痛々しくて見ていられないです。
何よりショッキングなのが……独眼鷹の……。嘘でしょ嘘でしょって思いながら読み進めて、陸必行がやっとお墓に行けたところでああ本当にいってしまったのだな……と。湛盧は比較的早く復活できたので湛盧だけが心のよりどころだよお~~となりました。あと陸校長を心配して生徒たち四人が押しかけてくるところも泣いてしまった。登場人物が増えるにつれ生徒たちの出番もちょっと減っちゃうんですが、やっぱり要所要所で大事な役割をしてくれるのが四人の生徒たちなんですよね。
で、その頃の林静恒は牢獄に閉じ込められており、本当に最初は完全に瀕死だったので将軍は命を大事にしてくれーーー!!と思いながら読んでいたのですが、いや確かに何度も死にかけてるんですがこの将軍ちょっと強過ぎる。強過ぎるせいで死にかけてるとも言えるが牢獄の獄卒を殺して黄泉の国から這い上がって来る受けが良すぎて……。そういうのは直江(炎の蜃気楼)みたいな攻めのやることだと思っていたぜ!林静恒のプリズンブレイクからの白銀十衛再召喚はめちゃくちゃ熱かったです!!
陸林早く再会してくれ!!と思っていたものの、いざ二人が対面するとなったらどうなってしまうのか本当に怖くて、ワームホールの中で過去の幻影が行き交う中でキスをする二人の場面でやっと……!となりました。
ただ6巻では二人再会してまた二人で『林将軍とエンジニア001の家』で暮らし始めるんですが16年の別離が二人の、とくに陸必行の心に深く傷をつけていてすごくつらい。林静恒を失ってしまうことを恐れている陸必行のために一秒単位で正確に毎日帰宅する林静恒というのに深い愛情を感じるんですが、やっぱりすぐに傷は癒えないんですよね。
だから140話はすごく好きな回で、白銀十衛が勢ぞろい(全員じゃないけど)して二人の家にやってきて、そこでトマスがエンジニア001って……?ってなり(トマス、ゴシップ好きなくせにこういう時だけ!!好き!!!)、ぽろっと陸必行が「僕は16年間この人を待っていました」と言ってしまい、林静恒の「おいで、必行」からのキス、ミーアキャットになる白銀十衛、全部良すぎる!!!!白銀十衛最高!!!!そのあと連日二人の家に客が押しかけるものだから気が狂いそうになった陸必行がホテルに呼び出して今まで言えなかったあれこれをぶつけ合って激しい夜を過ごすのも……。林静恒はあんまり言葉を尽くす人じゃないんですが、だからこそ一言一言が沁みるというか、ただ自分が約束したのは君の元に帰って来ることだけっていうの、ずるい……でも将軍にそんなことを言われてしまったら……。私はこのホテル回で一旦わだかまりは決着かと思ってたんですが、そのあと冷戦からの大きな喧嘩をしてやっとそこで陸必行が自分の胸の内を全部吐き出せてやっと安心できました。昔のような明るくポジティブで前向きな陸必行じゃないってことは本人が一番わかってて、林が好きなのはそんな昔の自分で、でも林が好きな自分にはもう戻れない、昔は無邪気にあなたに着いて行きたいって言えたけど連盟政府と第八星系独立政府の板挟みになる林静恒の足手まといになることを恐れている、みたいなそういう感情がとてもつらいのですが、でも林静恒がずっとゆるぎなく陸必行を信じてくれているということを確かめ合えて本当によかったです。
後半は第八星系独立政府と連盟政府という政治的駆け引きに加えて、テロリスト林静姝率いるチップマン(これなんて訳したらいいんですか?)の自由軍団、亡きウルフのAI率いる人工知能軍団という大戦争、さらに敵だと思っていた反ユートピア協会が……!?という感じになって面白いしスリリングだけど場面がいっぱい切り替わってストーリーを追うのがちょっと大変でした。玫瑰之心で自由軍団と人口知能軍団と対峙した時からずーーっと息つく暇もなく危機、危機、また危機で(人口知能軍団と一旦休戦になった時は少し猶予があったかな)、だけどこれまで読んできたP大作品とは違ってわりと終盤まで陸林が一緒にいて様々ないちゃつきが見られたのでそこは心安らかだったかも。クライマックスはかなりヒヤヒヤしたけれども!敵の攻撃に晒されながらのプロポーズ攻防戦は手に汗握る展開の中での癒しだし、林静恒が用意してくれる指輪のエピソードが全部好きだ~。エピローグで生体チップと彩虹ウイルスの件で裁判を受けたあとの陸必行がメディアに取り囲まれながら林静恒が自分の家族だと打ち明けるシーンは全カップリングのオタクが好きなやつですよね。
終盤になると群像劇っぽくなるので好きな場面色々あるんですが、やっぱり林静恒と林静姝の話かなあ。序盤から林静姝のことはミステリアスというか不穏な形で出てきて生体チップを用いた人間の支配というテロリズムをたくらんでいることが明かされるわけですが林静姝の思想としてはテロリズムではなく革命なんですよね。そのモチベーションになってるのは幼少期の理不尽な運命で、弱さは罪、間に合わなければ何も意味がない、そういう言葉を林静恒に投げかけるのが……。林静恒が守りたかった女の子はもうどこにもいなくて、なんかこの二人どこかで救済あるのかなあと思ってたけど結婚式での投影された林静姝にユニコーンのネックレスを渡すところは切なかったです。だけど林静姝との最終戦の時に立ちはだかるのがビール瓶と暴力で物事を解決しようとする空脳症の女の子・黄静姝っていうのは熱かったなー!北京β星の話は黄静姝の話から始まるので、ここでこういう風に持ってくるんだ!となりました。
ところで読み始めた頃に番外のタイトル見て婚礼夜話!!エッチな話だ!!と思ってすみませんでした。煩悩が先走りました。実際メインになるのは故人の思い出話で、陸林の二人は前の世代からの因縁に運命を弄ばれた二人だとも思うので生きてる人間にとっての慰めにしか過ぎないかもしれないけど、二人の区切りになったらいいなと思います。18年後は子供を持った二人のその後の生活の話なんですが、殺破狼の顧昀もそうなんですが生粋の軍人で自分はいつか宇宙のどこかで戦って死ぬだろうと思ってた林静恒が、息子のピアノのコンサートにおめかしして出掛けて、娘が肩にもたれて居眠りしていて、横には陸必行という伴侶がいる……将来そんな生活をすることになるとは誰が想像できただろうか?みたいなやつに弱いです。
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