(天官ネタバレ)戚容のこと
読了したのがしばらく前なので記憶違いとかあったらすいません。
本編ネタバレです。
戚容、出てきた当初はなんだこいつって感じで、花城にボコボコにされてたけどボコボコにされても仕方ないやつだなという印象で、実際序盤に出てくる永安国のあれこれは戚容がそんなことをしなければ殿下も苦しめられることはなかったんじゃ……ってなりますよね。
その次に2巻を読んで人間時代のまだ少年だった頃の戚容の生い立ちを知った時のウワーーーー!!という感情!!!
これ、どうすればよかったんですか???
結局本編読み終わって、戚容の結末を見て、それでも私は戚容をどうすればよかったのか全然わからないです。たぶん『世の中のどうにもならないこと』として描かれてると思うので、私じゃなくても誰も答えは出せないんじゃないかと思いますが……。
皇后は身内だからと面倒を見ているし一応可愛がってるとは思うんだけど、どう考えても皇后の手には余るじゃないですか。こういう言い方をするのもなんですが、皇后は過去編を通して殿下のことをずっと想ってくれてた優しい母親だけどだいぶ頼りない人という風に描かれてますよね。というかあの時代にあの場所で皇后以外にも戚容を正しく養育できる人がいるとは思えない……。殿下自身も戚容に対して責任を感じてるところがあると思うんですが、ゆーて当時の殿下だってティーンエイジャーの王子様だし、戚容の境遇を理解して導いてあげるのは荷が重過ぎる。戚容の屈託、自身の立場が周囲からどのように見られているのかを含めて真に理解してその上で正しく育ててくれる人をあの当時の仙楽国の中で見つけるのめちゃめちゃ難しいよ。現代だったら適切な専門家と、あと皇族であっても公平に裁かれる法律があれば長じてからのことは行政と司法マターでせめて一般人への暴虐はなんとかできるかもだけど皇族が重んじられる王朝政治だとたぶん無理ですよね。なんかこう……戚容に信頼されてて自分の命を捨てる覚悟で諫言ができる家臣とかいたらまたちょっと違ったのかもしれないね……。
そんなわけで比較的優しく接してくれてた皇后や殿下も心から親身になってくれたとはいえなくて(というか戚容自身がそう思っていると思う)(とくにのちのちは)、でもそんな戚容が利用しようとしただけなのにお父さんお父さんって呼んで怖がりながらもずっと一緒にいてくれたのが谷子なんですよね。食ってやるって脅しながら(あと普通に泣かせてるし)、だけど結局谷子を危険な目には遭わせなかった戚容。まあヒヤヒヤした場面はあったけど……。
人間時代から戚容に不当に暴力を受けてきた民はいっぱいいたし、鬼になってからももちろん人を殺して、殿下に対する逆恨みのような仕打ちも全部生い立ちがかわいそうだから仕方のないことと免責するには行き過ぎてると思うし然るべき報いを受けてほしいという気持ちはあったからあの結末もやむなしと思いますが、なんというか谷子と出会えたことだけはよかったね、みたいな気持ちにもなってしまいます。
私は戚容の生い立ちを見てこういう風に感じてしまうんですが、花城はだからこそ許せなかったところがありそうだなーということも思いました。花城の生い立ちからすれば戚容なんて本当に甘やかされてるとしか思えないだろうし、その末に殿下を逆恨みするようになるなんて許しがたいことだっただろうなと。花城の戚容ボコボコ具合はワ~~!となってしまうんですが、あれは殿下に対して引け目を感じることはないんだという意思表示でもありそうだなみたいなことを考えていました。
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